Visit Lyli Herse

昨年の夏、旅先で憧れの女性に逢えました「私が走れば、いつだって花束がもらえたのよ」そう語る彼女は、1950〜60年代にかけて8度(!)のフレンチ・チャンピオン(自転車ロードレース)に輝いたリリー・エルス


フレームビルダーだった父、ルネ・エルスの自転車を駆って勝利したというから、なんともロマンティック! そんなリリーは88歳になった今も、ホームトレーナーで年間7000km以上走るというから驚きです。走ることが暮らしの一部に、人生の一部になっているとはまさにこのこと。


自分たちの自転車でおじゃました私たちですが、せっかくなので友人のタンデムを借りてプラリ。1946年に作られたというルネ・エルスのタンデムは、半世紀以上も前に作られたとは思えない快適な乗り心地です。

かつてフランスでは 、”結婚のお祝いに 友人一同がカンパしてカップルに贈るギフト”としてタンデムに人気があった時代があったのをご存知ですか? 今ではバカンスの印象も強いフランス人ですが、国民の権利として2週間の有給休暇(いわゆるバカンス)を得たのは1936年のこと。それまで労働条件などあってないようなものだったフランス国民にとって、それは初めての夏休みでした。そのとき、彼らが選んだのがタンデム。クルマや汽車のチケットは買えなくても、タンデムがあれば大切な人と二人で旅に出ることができたのです。なんとも素敵な史実ですね。ちなみに、フランスでは1789年のフランス革命に次いで、重要な年と捉えられている1936年。労働改革や革命を解説する教科書では、いつだってタンデム・ライドの写真が使われているそうですよ。

そして、常に「走る」ための自転車を追求し続けていたルネ・エルス。やはりルネ・エルスの価値は走ってこそ発揮されるものなのでしょう。今日はショートコースを走っただけですが、いつかルネ・エルスで旅をしてみたいなぁ、そんなことを考えながらタンデム走行していると、最初は「乗らなくてもいいわ」と言っていたリリーも……


ヤンとタンデム! すごく楽しそう。そして、さすがのポジションです。カメラ目線もバッチリ! 私より走りが軽快なのは言うまでもありません。

実はこの日、チーム・ルネ・エルスで走った自転車仲間が集まりました。平均年齢はおそらく80歳以上。何が印象的だったかといえば、歴史的な栄光を語るだけではなく”最近の走り”について熱く語り合っていたこと。大病を煩っても、身体能力の衰えを感じることがあっても、それぞれのカタチで自転車のある暮らしを楽しんでいる。「最近ちょっと太ったんじゃないの?」「自転車に乗ってないからだろう!」なんて、冗談を飛ばし合っている。みなさん生涯現役を地でいかれていて、とても格好よかったです。


とてもチャーミングで笑顔がステキなリリー。帰り際には、庭で摘んだ花をブーケにしてプレゼントしてくれました。こんな風に年を重ねられたらいいな。そんな風に感じた、2016年・夏の思い出です。

Last summer, I met a lady of my dream. She told me: "When I rode, I often received a bouquet of flowers." She is Lyli Herse, who won the French championships (bicycle road race) 8 times.
Her father, René Herse, was a bicycle frame builder. She always rode her father's bikes. It is so romanic! Even though she is 88 years old, she still rides: This year, she has ridden more than 7000 km on her home trainer. What a surprise!
Her smile is very charming. When we leave her house, she gave us an bouquet she made from roses in her garden. When I grow up, I want to be like her!

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PAUL CAMP 2017

PAUL Components が主催するメディア向けツアー『PAUL CAMP2017』に参加してきました。PAUL Componentsは、カリフォルニア州チコで、創始者であるポールが1989年にスタートさせた自転車用コンポーネントのメーカー。メイド・イン・U.S.Aにこだわり、今もチコの本社兼ファクトリーでパーツの生産を行っています。



創始者のポール。「自分は一人のバイク・ガイに過ぎない」と屈託なく笑うポール。飾らない人柄がとても印象的です。以前からバイシクル・クオータリーを読んでくださっていて、私の書いた記事も覚えていてくれました。「“スローライダーにこそ高性能なバイクパーツを” って記事。あれはとても新鮮で面白かったよ。すごくいい視点だと思う」と。ココだけの話、女性ならではの視点が受け入れられたようで、とても嬉しかったです。


今回のPAUL CAMPでは、メディアのために用意されたMTBフィールドを中心に活躍するフレームビルダーのハンドメイドのマウンテンバイクやモンスタークロスがズラリ。どのバイクもPAULの最新パーツを搭載しています。


「カラフルな自転車パーツを作りたくって、この仕事を始めたんだ」というポール。例年、PAULではコンセプトカラーのパーツをリリースしています。2017年モデルは鮮やかなブルー。


私は基本的に他のメディアの皆さんとはバイクのサイズが違いすぎて、試乗車をシェアすることができません。そんな私のために、ポールは小降りなSTEVE REX(スティーブ・レックス)のマウンテンバイクを用意してくれていました。このバイクには最新のパーツが着いているわけではありません。けれど、PAULのパーツが他のどのカスタムバイクよりも搭載されています。まだまだ女性にはやさしいとは言えない自転車の世界。だからこそ、こうした配慮が嬉しかったです(PAUL CAMPの参加者で女性は私だけでした)。

ちなみに日本には、“登りも降りも乗って楽しい”シングルトラックがそれほど多くはありません。そんな背景もあって、実は私、マウンテンバイク初体験です。ドキドキ……。


PAUL CAMPには、バイクを提供したフレームビルダーも参加しました。ポールから簡単な説明があった後、メディアもそれぞれ試乗するバイクをセレクトして、いざチコ近郊のシングルトラックへ。初日と2日目はみんなでオフロード・ライディングを楽しみました。マウンテンバイクに最適なフィールドが走って十数分の場所にあるなんて、理想的ですよね。

ちなみに、チコのハイカーはとてもフレンドリー。「こんにちは。楽しんで!」そんなやりとりが大切なのは、世界中どこだって共通です。挨拶を交わして、お互いに道を譲ったり、譲ってもらったりしながら、道をシェアして走ります。


もちろんポールも一緒に! 日本とは地形も気候もシングルトラックのコンディションも違います。こんなにドライで丘陵地で手軽に市街地からアクセスできるオフロードって日本にもあるのかしら? このあたりのシングルトラックは彼にとっては庭のようなもの。


快適なだけのオフロードじゃつまらない、と、いうわけで、ところどころテクニカルなパートも。こうしたMTBのメリットを最大限に活かすことのできる環境でテストを重ね、PAULのパーツは生み出されています。


50kmほどのライドの後は、別ルートで合流したPAULスタッフとメディア、フレームビルダー、みんなでピクニック・ランチ。「そんなに短いコースじゃないし、テクニカルなパートもある。エスケープルートも用意してあるから疲れたら声をかけてね」と言われていたので、完走できてほっとしました。ふぅ。

あっ、もちろん落車もケガもしていないですよ。わりと慎重な性格なので、楽しくのんびり走らせていただいちゃいました。私の乗れるサイズの自転車を用意してくれたポールに、心から感謝です。自転車ツーリングとはひと味違ったクセになる楽しさだったので、このレポートはいずれバイシクル・クオータリーで記事にしようと思います。


美しい渓谷のビュースポットでひと休み。参加者同士、すっかり打ち解けて自転車談義で盛り上がります。タフなオフロードのパートはここまで。この先はもう、PAULまでメローなグラベルを流して走ります。


その日の夜は、チコの主要企業である『シエラ・ネヴァダ・ブリューワリー』へ。参加者がビールのテイスティングやファクトリー・ツアーを楽しんでいる間、今回用意された試乗車はショーバイクとして展示されました。どのハンドメイド・バイクもワイドタイヤにディスクブレーキ。確立されたメソッドがあるわけではないから、一台として同じデザインのバイクはありません。日本では、ハンドメイドのマウンテンバイクやモンスタークロスって実際に目にする機会があまりないですよね。貴重かつ、かなり刺激的なエキシビションでした。


翌日はファクトリー・ツアーが開催され、PAULのオリジナル・パーツがどのように生み出されているのか、どのようなこだわりがあるのか? ポール自ら語ってくれました。


ファクトリー・ツアーの後は、各フレームビルダーによるプレゼンです。彼はAdam Sklarアダム・スカラー)。2017年のNAHBS(北米ハンドメイド自転車ショー)でBest Mountain Bike賞を獲得した、モンタナ在住の若きフレームビルダーです。アールのついたトップチューブがとてもアイコニック。


今回、参加したフレームビルダーとポール。右から、Cameron Falconer、Rick Hunter、Robert Ives (Blue Collar Bikes)、Steve Rex、Adam Sklar、Alec White (White Industries)、paul Price (Paul Components)、Sean Burns (Oddity Cycles)、Curt Inglis (Retrotec)、John Caletti, Jeremy Sycip、Chris McGovern。

※ホワイトインダストリーズはPAULと同様、カリフォルニア発の自転車用パーツのメーカー。今回のPAUL CAMPに協賛していました。


PAULの魅力だけでなく、カスタムバイクやチコの魅力を満喫したPAUL CAMP 2017。マウンテンバイクもいいなと実感した3日間でした。ブログでは駆け足の紹介でしたが、ファクトリーツアーのフル・リポートやヤンのバイク・テストは、バイシクル・クオータリーに掲載する予定ですので、どうぞお楽しみに♪




















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