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Meet Team René Herse 2017


この記事は、2017年に執筆したものです。当時のまま、掲載します。

2017年の夏、再びリリーのお宅におじゃましてきました。
往年のチーム・ルネ・エルスの面々も駆けつけてくれましたよ。


写真を見てお気づきの方もおられると思いますが、
ピーター・ワイグルも一緒に訪問(写真左手前)。
ピーターのフランス訪問記は、バイシクル・クオータリーvol.61に掲載されていますので、
ぜひチェックしてみてくださいね。


「最近どう?」「あなたのRené Herseの調子はどう?」
なんて話で盛り上がっています。

2度目の訪問ということもあって、
私もいろいろとサイクリングのお話を伺うことができました。

「1930年代〜40年代。サイクリストだけが自分の力で遠くまで出かけることができたの。
週末になると200kmほど離れた町までちょっと買い物に出かけたの。自転車でね」
なんて、食料や物資が手に入りにくかった
戦時中・後、自転車が貴重な交通手段だった当時の話も。


チームの一員、デミリは1966年のパリ・ブレスト・パリを44時間21分で走り抜いた
サイクリスト(なんと、その年のファーステスト!)。

当時のパリ・ブレスト・パリは今とは少しコースも違ったそうですが、
それでも1200kmという長距離であることに変わりありません。
それを平均時速27.1km/h(休憩込み)で駆け抜けたというから驚きです。
各チェックポイントでの休憩は5分程度。腰をおろすなんてとんでもない。
クルマのボンネットがランチのテーブルになり、その場で補給してまた走りだす。
休憩? そんなものは走り終えてからだ! というノリだったそう。

もちろん当時も、完走を目的としたサイクリストは多く、
デミリのように、自分だけでなくバイクの限界をも試す走り方をするのは、
ひとにぎりのサイクリストだったそうです。

彼のようなサイクリストは、
フランスのフレームビルダーとチームを組んで数々のレースやブルベを走りました。
彼らの実走から得た情報は、ハンドメイド自転車の
新たな可能性を探る手だてとなったはずです。
そう。彼らは、1930年代から70年代のフランスにおける
ハンドメイド自転車の黄金時代を支えた影の功労者なのです。

フレームビルダーであるルネ・エルスの功績だけに目がいきがちですが、
ライダーの存在なくしてフランスのハンドメイド自転車の歴史を語ることはできない。
そのことを実感する今日このごろです。

写真手前のライダーがデミリ、1966年のパリ・ブレスト・パリにて。ちなみに写真後方に写る短髪の女性がリリー。『The Golden Age of Handbuilt Bicycles』より。Copyright(c) 2009 Jan Heine ※著者の許可を得たうえで掲載しています。

と、そんなわけで、ここぞとばかりに私の長年の素朴な疑問(?)、
なんでパリ・ブレスト・パリを走ろうと思ったのかを聞いてみました。デミリいわく……

「あの頃は、パリ・ブレスト・パリといえばサイクリストの憧れの的だった。
だから、みんな“いつかはパリ・ブレスト・パリ”って思って走ってたのさ。
何も変わったことじゃない。そういう時代だった。
で、ただ走るだけじゃ面白くないだろ? 走るなら、トップを目指さなきゃね」。

簡単そうに言うけれど、有言実行できる人はそうそういません。
優れたサイクリストがいて、素晴らしい自転車があって初めて成し得る記録。
彼の樹立した44時間21分という記録は、十数年破られることがなかったそうです。

そんなデミリはタンデム(男性×男性)のカテゴリーでも
パリ・ブレスト・パリを走っています。

せっかくなので当時、タンデムがどんな位置付けだったのか、改めて聞いてみると……
「まずは、自分が乗れるサイズのタンデムを見つける。
見つかったら、フレームサイズにあったストーカー(後側の席のライダー)を探して、
“俺とタンデムで走らないか?”って、誘うんだ。あとはトレーニングあるのみ!」と。
おお、これまた格好いい答え。もちろん、誘われることもあったのだとか。

ちなみに、日本ではカップルのためのものというイメージが強いタンデムですが、
当時はサイクリスト同士の夫婦でもタンデムだけは
“絶対にこの人”という別のパートナーがいたというケースも少なくなかったのだとか。

ペダルストロークも含めて、ライディングスタイルが違うとタンデムは苦痛。
しかも走れるサイクリストほど、走りに妥協ができない。
そんな事情もあって、気の合うタンデム・パートナーが貴重だったのだそうです。

私のなかでは、“カップルがお互いをフォローしあいながら楽しくのんびり走る”
というイメージが強かったタンデム。それは、ある一面でしかなかったのですね。
視野を広く持たなくちゃ、と、ちょっと反省。


そんな自転車の話には興味がなーいとばかりに、
ソファでくつろぐリリーの愛犬・ディック。
今日もゴキゲンです。相変わらず、かわいい〜。いつも遊んでくれてありがとう
(このあとも、一緒に遊んでもらいました)。


ホームトレーナーで走ることが日課のリリー。2017年もガンガン走っています。
そんなリリーから、「あなたも乗ってみたら?」と誘われて、
今日は私もホームトレーナーに挑戦。っていうか、これって固定なんですね。

固定車に慣れていない私。とにかく脚がついていきません。
その横で「もっともっと!」と、ノセるリリー。
久しぶりに息が切れたけど、楽しかった!



これからルネ・エルス・タンデムでフランスのアルプスへ、
サイクリングに出かけるのだと話をすると「楽しんできてちょうだいね!」と、
リリーは笑顔で私たちを送り出してくれました。



リリーと別れた後、私たちはフランスのアルプス・ベルコー地域を
1週間ぐらいかけてのんびりと走ってきました。
初めてのタンデム・ライドはとても新鮮で、ソロで走るのとは全く違って。
想像以上に面白かった。
この記憶は残しておきたい! そして、タンデムに興味を持ってもらえたら嬉しいな……
というわけで、バイシクル・クオータリー62号に記事も寄稿しました。


そうそう。壁に掛けられた刺しゅうを見つめていたときのこと。

「(8度のフレンチ・チャンピオンに輝いて)レースを引退した後は
チーム・ルネ・エルスのサポートをしていたの。
レースの間はいつも、刺しゅうをしながらライダーの帰りを待っていたのよ」
とリリーが懐かしそうに教えてくれました。

あ。なんだかいいな、その感じ。
鮮明に浮かんだレース会場のイメージに、胸が熱くなりました。

やっぱり、私にとってリリーは憧れの女性。
そんな風に思った2017年の訪問でした。

2018年1月 追記:
2018年1月4日ルネ・エルスの誕生日に、リリーはその89年の生涯を閉じました。
今はただ悲しいけれど、たくさんの方とリリーとの思い出を共有することができたなら、
きっと彼女も喜んでくれるんじゃないかと思っています。

愛犬のディックは、リリーの友人が引き取り育ててくれることになりました。

LINK: Lyli Herse 1928-2018
Visit Lyli Here 2016

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How to Make a Superlight Bike for the “Concours de Machines2017”

コンクール・マシン2017の全日程終了後、オフィシャル・リゾルトが届きました。今回、Bicycle Quarterly(バイシクル・クオータリー)と協働したPeter Weigle(ピーター・ワイグル)のバイクは総合2位を獲得。期待以上のバイクに仕上げてくれました。そのリゾルトは……


最軽量バイク(Lightest bike):1位
審査員によるポイント(Choice of the jury):1位
テクニカル・ポイント(Technical points):1位
※オリジナルパーツやモデファイに対して加算されるポイント。メカトラブル等の問題があれば減点される
メカニック面での減点:なし
各ステージにおける速度面での減点:なし
総合順位(Overall):2位

最軽量、審査員のポイント、テクニカル・ポイントで1位をとっていたことに驚きました。そして、何よりも審査員がピーター・ワイグルのバイクのクラフツマンシップ、そして機能美を評価してくれていたことが嬉しかったです。

たとえば、ピーターはコーナリング時にも最適な角度で路面を照らせるように、フロントフォークではなくフロントキャリアの先端にライトを取り付けています。こうしたディテールにポイントは付きませんが、テストライド前のプレゼンテーションで、審査員が走行に必要な小さなディテールについても評価してくれたことの意味は大きいように感じます。


あれっ。でも、それじゃあ何故、総合順位が2位なの? と、疑問を抱く方もおられるでしょう。実は、総合順位を決めるうえで、最軽量、審査員のポイント、テクニカル・ポイントに匹敵する重要事項が設けられていたのです。そして、ピーターのバイクはそこで高得点を得ることができませんでした。それが何かというと……

会場人気投票:6位(24車両中)
フレームビルダーによる人気投票:7位
レジュメ(ペーパーワーク):15位

コンクール・マシンは、アンベールで毎年開催されている大きな自転車イベントの一環として開催されています。そのため、数千人の来場者のほとんどはロードレーサーのユーザー。日本でいうなら、サイクルモードの来場者のイメージが近いです。多くの来場者にとってのモダンバイクとは? そう考えると、会場人気投票の結果もうなずけます。さらに、コンペティター同士の投票はフェアになりにくいもの。フレームビルダーによる人気投票については、総合順位とは別のカテゴリーで評価してもよかったのではないかと、個人的には感じます。

そして最も順位が低かったのはレジュメ。これには一同、苦笑いでした。本来ならば、私たちが写真撮影など、プレゼンテーションに必要な作業をサポートしなければならなかった。けれど、ピーター・ワイグルの本拠地は北米・東海岸のコネチカット。Bicycle Quarterlyの本拠地は北米・西海岸のシアトル。そして、私は東京から参加。さらに、開催地はフランスという3カ国にまたがるプロジェクト。悔しいですが、言い訳は無用。受け入れざるを得ない結果です。

また、コンクール2日目のテストライドで、ヤンは一緒に走っていたセバスチャンとともに、一カ所GPSの誤作動でミスコースをしています。ミスコースで減点されたことも、順位を落とした理由の一つかもしれません。コースに復帰するために、8kmほど大回りをせざるを得ませんでしたが、幸い主催者はコンクール2日目のテストライドの基準速度を当初の22.5km/hから15km/hに引き下げて採点を行ったそうなので、速度による減点はありませんでした。


とはいえ、今回のコンクール・マシン参加の目的は、私たちにとって「本当に必要な機能を備えたサイクルツーリング・バイク(ランドヌール・バイク)とは何か?」という指針を示すことでした。その目的は十二分に果たせたと感じています。

なかでも嬉しかったのは、最軽量バイク賞を受賞したということ。車両重量は約9.1kg(フレームサイズ C-C / 590mm)。もちろんこれには、通常ロードレーサーを計量するときには含まれない(であろう)、ペダル、フロントキャリア、バックサポーター、ライト、ジェネレーターハブ、泥よけ、マッドフラップ、ボトルケージ(2ヶ)、輪行システム、ポンプ、ライトスイッチシステムも含まれています。これだけでも、パーツを考慮しなければ簡単に2kgほど重量は増えてしまいます。ちなみに、軽量化をさほど意識しないで組まれたフレームの場合、11kg〜12kgというのがツーリングバイクの一般的な重量。9.1kgがいかに軽いか、なんとなく感じとっていただけたでしょうか?


ピーター・ワイグルのバイクは、ぱっと見では軽量化を図っているようには見えません。唯一、見た目にわかるのはチェーンリングに加えられたホールでしょうか。誤解をおそれずに言うならば、最新のテクノロジーを駆使して設計されたモダンパーツは、後から手を加える必要がほとんどありません。上位グレードのものなら、なおさらです。今回、ピーターがチェーンリングやクランクに手を加えることができたのは、ライダーの走り方によるところも大きいのです。

ということは、争点はいかにフレームを軽量化するかということ。そしてキャリアなどのオリジナルパーツをいかに無駄のないデザインに仕上げるかということ。それも、テストライドを乗り切ればいいのではなく、ロングライドにも耐えられるような、そんなバイクのための必要十分な軽量化。ここに、ピーター・ワイグルの長年の経験が活かされました。


正直言って最初にピーターのバイクを見たとき、私もヤンも10kg以上あると思いました。そのぐらい、パッと見ただけでは何故軽いのか、わからないのです。ということは、見えないところに隠された軽量化のヒミツがある。それを解きあかすには、バイクを一度バラしてみるほかありません。


ちなみに、今回のコンクール・マシンで使った主要な既成パーツは以下の通り。軽量化を視野に入れつつも、乗り心地や耐久性を考慮して選んでいます。パーツ選びに関しては、コンクール・マシンのライダーであり、このバイクのオーナーでもあるヤンの好みが大きく反映されているので、ご参考までに。

SON Widebody hub:  SON Deluxジェネレーターハブのワイドボディバージョンを使用。ワイドなフランジは剛性の高いホイールを組むのに有利だと考えました。コンクール・マシンに参加するためにヤンがシュミットに28穴のワイドボディバージョンの製品化を粘り強く交渉し、ようやくその願いが叶いました。

Pacenti Brevet 650B rims: 近年、28穴の650Bリムが容易に手に入るようになりました。ピーター・ワイグルの手によって軽量化のための若干のモデファイが加えられています。

Titanium brake pad eyebolts:  通常、スチール製のボルトをチタン製のものに置き換えることは、強度の問題から推奨していません。ブレーキパッド用のダルマネジは長さがあるので、チタン製でも問題ないと判断。プロトタイプのRené Herse(ルネ・エルス)カンティレバーブレーキ(写真・上)と合わせて使用しています。

Compass Loup Loup Pass Extralight 650B × 38mm tires:  パナレーサーと協働開発を行って誕生したCompass Cyclesの超軽量タイヤ。日本でも手に入りやすくなりました。

Compass René Herse cranks:  フランスの伝説的なフレームビルダーRené Herse(ルネ・エルス)がデザインしたクランクを現代の技術を用いて復活させた銘品。ピーターは一部、モデファイして使用しています。

Compass Maes Parallel handlebars: Compass CyclesとNITTOがコラボした軽量ハンドルバー。

Gilles Berhtoud Galibier saddle :  決して最軽量とはいえないレザーサドルですが、その使い心地のよさで採用。安全性を高めるために取り付けられているブラケットは、今回外して使用しました。

Crank Brothers / Eggbeater11: チタン製の超軽量ペダル。その重量はなんと179g。

Nitto 80 bottle cages:  カーボン製の軽量ボトルケージに比べて重量はあるものの、ホールド力と使いやすさは抜群です。

そのほか、チタン製のボトムブラケット、チタン製カセット(Campagnolo / Record)、カーボン&チタン製の変速機(Campagnolo / Record)といった超軽量パーツも使用しています。

そして忘れてはならないのが、Gilles Berhtoud(ジルベルソー)とコラボレーションしたコンクール・マシンのためのフロントバッグ(写真・下左)。通常モデル(写真・下右)と比較して大幅に革の使用部分を減らし、機能を限定し、フロントポケットもなくした1点モノ。なんと、重量は実測値でわずか266g。通常モデルの公称値は550g。私も最初に持った瞬間「軽っ!」と声が出てしまったほどです。使っている帆布も革も通常モデルと同じもの。帆布製×革製のフロントバッグは重たい、という従来のイメージを見事に払拭してくれました。


フロントバッグや携帯工具を含めても約9.7kg。この軽量化は、フロントバッグのメーカーとしても老舗のGilles Berhtoudの協力があったからこそだと言えるでしょう。ちなみに、Gilles Berhtoudからは「うちのロゴを付けると3gぐらい重たくなっちゃうんだけど、付けても大丈夫?」と問い合わせがありました。もちろんOKです! それこそが、コラボレーションの証ですもの。


ちなみに、フレームカラーはピーターがヤンのために選んだ色。「グリーン系にするかブルー系にするか、フレーム色はすごく迷ったよ。でも、ヤンはいつもブルーのジャージを着ているでしょ? だから明るいブルーを選んだんだ」とのこと。自転車はライダーが乗って走って、そこでようやく完成されるもの。ピーターの言葉は、そんな当たり前のことを思い出させてくれる一言でした。

3日間に及ぶコンクール・マシン2017。いかがだったでしょうか? 昨年のコンクール・マシンでは多くのメカトラブルが発生しました。今年は、昨年に比べてかなりメカトラブルが少なかった。コースは昨年以上にタフなものになったにも関わらず、です。そもそも、ライダーの技術や脚力に大きくスピードの左右される自転車は、性能の数値化が簡単ではありません。さらにフレームの素材だけとっても、スチールをはじめとしてステンレスやチタン、カーボン、バンブーetcと多種多様。同じ条件で比較するのは相当に難しい。そんな、実施の難しいテストライド込みのコンクール・マシンは、主催者にとってもチャレンジであるはず。

そんななか、メカトラブルの減少からも見てとれるように、参加ビルダーはどんどん進化していっている。これって、スゴイことだと思いませんか? かつてのコンクール・マシンが、フレームビルダーにとってスチールバイクやアルミ製バイクの可能性の追求と技術革新を生む場となったように、ここから世界に通じるイノベーションが再び生まれる日が来るかもしれません。それってすごく、ワクワクしますよね。今後の展開にも期待! です。

※コンクール・マシン関係の本Blogはコチラにリンクを貼ってあります。
コンクール・マシン:初日・プレゼンテーション(Concours de Machines Day1)
コンクール・マシン:2日目・テストライド(Concours de Machines Day2)
コンクール・マシン:3日目・テストライド(Concours de Machines Day3)
コンクール・マシン:リゾルト(Concours de Machines Result)
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Concours de Machines 2017_Day3

いよいよコンクール・マシンも3日目。今日は与えられた地図を読んで、各自が好きなルートで走るというもの。最初のチェックポイントとなるCol du Béal で3kgほどの荷物を受け取り、フィニッシュ地点まで運ぶというのが今日のミッション。積み荷が増えるとはいえ、昨日ほどのハードなコースではありません。皆さん、なんだかとても和気あいあいとした雰囲気。


ジルベルソーのオーナーであるフィリップとバイシクル・クオータリー編集長のヤン。フィリップもCol du Béal(地図の1の場所) までは、コンクールの参加者と一緒に走ります。


今日の考えられるルートは、距離は短いけれどグラベル、距離は長くなるけれど舗装路、という2通り。地図上の1(Col du Béal)の場所で積み荷を受け取り、地図上の2の場所を通ってアンベールに戻ります。フランスの地図に慣れていなくても、なんとなくルートが見えてきませんか? ヤンは、どちらの道を選ぶでしょうか。ちなみに、Col du Béalで積み荷を受け取ってからバイクに積むまでの時間が計測され、積載にかかる時間が短いほど高いポイントが得られます。


今日も予報は雨。昨日ほどではありませんが肌寒い。けれど、皆さん笑顔ですね。かなりリラックスモードです。本当のスタート地点はCol du Béalの麓。そこまでは、のんびりサイクリングといった雰囲気でしょうか。ちなみに私はというと、昨日は全ライダーを見届けることができなかったので、今日はCol du Béalには向かわず、直接チェックポイントで待つことにしました。ちなみに、舗装路を選ぶとこんな感じ。


グラベルを選ぶとこんな感じです。プライベートで、のんびり走るサイクリングだったら、断然グラベルのほうが楽しそう。けれど昨日の今日だし、小雨も降り始めています。バイクを酷使する必要もないので、舗装路を選ぶライダーが多いのではないかと密かに予想。ヤンはどちらから来るだろう?


今日も最初にチェックポイントに飛び込んできたのはCyfacのライダー。安定した走りで他の追随を許さず、まさに独走状態です。舗装路メインのルートを選んだようですね。やっぱり速い! ちなみに、フロントバッグのなかに3kgほどの丸太が積まれています。そこが、昨日と今日との違い。荷物があるとどうなるか、というテストなわけですね。どうせなら、昨日のコースで荷物も運べばよかったのに、というのは野暮というもので。


ヤンもやってきました。積み荷の丸太はもちろんジルベルソーのフロントバッグのなか。補給食とレインジャケットを入れても、まだ容量には余裕があるようす。さっとモノを取り出したいとき、フロントバッグは本当に便利です。雨も本降りになってきていたので、ヤンもパパッとレインジャケットを着込んで、フィニッシュ地点のアンベールに向かいます。頑張ってね! ちなみにマッドフラップは、アンベール入りした後、コンクールが始まる前夜に雨予報を確認して「絶対あったほうがいい」と、滞在先でヤンが急きょ作ったもの。マッドフラップがあるとないとでは、脚と靴の濡れ方が全然違います。こういうところに、ブルベサイクリストでもあるヤンの経験が活かされていると感じます。


昨日はグラベルに苦戦したライダーも多かったようですが、ほとんどのライダーが舗装路であれば100km、200kmは流して走ることもできるようなベテラン。雨も、なんだかだんだん、というか、かなり降ってきましたが、皆さんとっても楽しそう。ちょっとしたファンライドといった雰囲気です。


今日はほとんどのライダーが舗装路ルートを選んでいるようです、雨のなか続々とライダーたちがチェックポイントを通過していきます。それほど大きなタイムの開きはありません。今日は、波乱はないのではないかしら?いや、ないにこしたことはないのですが。笑顔で走るライダーを応援していると、こちらもなんだか幸せな気持ちになりますね。


Brevet Cycles(写真・左上)はフレームの一部にステンレススチールを使っていて、それに合わせて泥よけもステンレス。同素材を使うことでさりげなく質感を統一するとは、なんとも粋ですね。ビルダーの美意識を感じます。一方、Gilles Berthoud(写真・右上)はスチールフレームにカーボン製の泥よけ。2台のコントラストが興味深いです。


続々とライダーたちが通過していきます。舗装路を選んだライダーたちから少し遅れて、グラベルを選んだライダーもやってきました。スウェーデンから参加のPATRIK TEGNERは、フロントバッグを使わずに荷物をバンドでキャリアに取り付けるスタイルです。颯爽とチェックポイントを駆け抜けていきました。


Day3:チェックポイント通過時のタイム

Cyfac 12:25
Cycles Andouad / Vagabonde Cycles /ADV Paris 12:40
Peter Weigle(※ヤン)13:00
Cycles Victoire / Pechtregon Cycles / Larix Bicycle / Nomad Cycles 13:05
Cycles Pierre Perrin 13:15 
Brevet Cycles / Gilles Berthoud 13:20
Chemins.CC /Arko Bici 13:30
Edel Bikes / Lafraise Cycles 13:50
Jolie Rouge Cycles 13:52
Menhir / Fée Du Vélo × 200 14:05
Cycles Petrus / Patrik Tegner 14:10 
Grade9 / Grandbois / Martignac DNF

※タイムはあくまでもチェックポイント通過時のもので公式記録とは異なります。また、3日目のみフィニッシュ(コンクール自体はリタイア)、あるいはペナルティを受け入れることでコンクール自体は完走(?)しているフレームビルダーもいます。最終的な記録とは異なることをご了承ください。


最終ライダーの通過を待ち、リタイア組の確認を済ませてフィニッシュ地点に戻ると、すでに走行を終えたバイクの展示が始まっていました。会場では一般の方による人気投票も。結果は総合順位に反映されるため、各ビルダーも熱心に来場者に解説しています。気になるコンクールの結果は速報にまとめているので、コチラをご覧ください。

ところで、オフィシャルで発表があったのは上位3ビルダーと各種特別賞のみ。各フレームビルダーには、個別に詳細なリゾルトを送付するとのことです(完走者のみかは確認中です)。……そして、なんと、今回の詳細な結果を主催者からは積極的に公式発表しないそうです。な、なぜ? 

そこで、バイシクル・クオータリーでは、主催者を通じて各フレームビルダーにリゾルトを問い合わせることにしました。多くのフレームビルダーがすでに編集部あてにリゾルトを送付してくださっているので、詳細なリポートは次号のバイシクル・クオータリーでお届けできる予定です。Peter WeigleのリゾルトはBlogでも公表予定ですので、どうぞお楽しみに♪

※コンクール・マシン関係の本Blogはコチラにリンクを貼ってあります。
コンクール・マシン:初日・プレゼンテーション(Concours de Machines Day1)
コンクール・マシン:2日目・テストライド(Concours de Machines Day2)
コンクール・マシン:3日目・テストライド(Concours de Machines Day3)
コンクール・マシン:リゾルト(Concours de Machines Result)
コンクール・マシン:リゾルト/ピーター・ワイグル(How to make a superlight bike for the "Concours de Machines 2017")



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Concours de Machines 2017_Result


コンクール1位 Pechtregon Cycles(ペシュトレゴン・サイクル)


コンクール1位は、フランスの若きフレームビルダー・マチューの主宰するPechtregon Cycles(ペシュトレゴン サイクルズ)。ユニークな形状のフォーク、フレーム分割システムや泥よけの脱着システム、ヘッドチューブ内へのインフレーター内蔵や輪行システムのためのオリジナル・ヘッドセット。これらを備えたうえで、総重量は10.5kg。ビルダー自らがライダーとなり、メカトラブルや走行速度によるペナルティもなく完走。彼のアイデアが機能することを、その走りで証明しました。コンクール中、最も”イノベーション”に対する心意気を感させる1台。ハンドメイドバイクの可能性を見せてくれました。

コンクール2位 Peter Weigle(ピーター・ワイグル)
同時受賞:最軽量バイク賞(Prix de la Légerté)


これまでに手がけたフレームは数千本。北米で最も優れた自転車を生み出すフレームビルダーの一人、ピーター・ワイグル。そんなピーター・ワイグルが提案したのは“究極のスタンダードこそがイノベーションだ”ということ。泥よけやフロントキャリア、ライトスイッチや輪行システムを導入。ライダーの要望により、最軽量パーツとはいえないジェネレーターハブやレザーサドルを採用しつつも、実測値は9.1kg。フロントバッグや携帯工具、スペアチューブを含めても総重量は9.7kg。軽量かつ、タフなコースを一つのメカトラブル、走行速度によるペナルティもなく完走した信頼性の高さがコンクール2位につながりました。カーボンバイクもエントリーするなか、最軽量バイク賞を同時受賞しています。

コンクール3位 Cyfac
同時受賞:ベスト・パブリック賞(Vote du Public)
ベスト・イノベーション賞 (Prix de l'Innovation)


今回のコンクールでダントツの知名度を誇るCyfac。彼らのスペシャリティでもあるハンドメイドカーボンフレームでエントリー。泥よけやフロントラックももちろんカーボンという徹底ぶり(一部にステンレススチールを使用)。バーエンドにインストールされたインジゲーターを手元で操作可能にした電装系のシステムなど、ユニークなイノベーションも。プロのレーサーにもフレーム提供する技術力を活かした彼らのバイク。2日間におよぶテストライドでは、ライダーは常にトップを維持。メカトラブルもなくコンクールを駆け抜けました。総重量12kgと決して軽量ではなかったことで総合評価はコンクール3位に甘んじましたが、会場の人気投票によるベスト・パブリック賞、ベスト・イノベーション賞も同時受賞しています。

ベスト・フィニッシュ賞(Prix de la Meilleure Finition)
Grandbois


日本の老舗クラシック系自転車店であるGrandbois(グランボア)。これまで日本の老舗フレームビルダーと協働していた彼らが、昨年よりフレームビルディングをスタート。細部に至るまで磨き上げられた、彼らの美意識が凝縮した1台を披露しました。走行中に軽量化が原因と思われるリアディレイラー破損という深刻なメカトラブルを起こすものの、ライダーが応急処置(シングルスピード化)を施し初日を見事に完走。コンクール自体はリタイアしましたが、応急処置が可能な工具の携帯やライダーの機転なども含め、老舗ショップらしいチーム力を見せてくれました。※写真はリアディレイラー変更後のもの。

審査員特別賞(Prix du Jury) 
Vagabonde Cycles(バガボンド・サイクル)


バガボンド・サイクルは2008年創業のモダン・ツーリングバイクを得意とするカスタムフレーム工房。泥よけやフロントキャリアといったツーリングに必要な機能を備え、ディスクブレーキやSTIといったモダンコンポーネントを搭載したバガボンド・サイクルのバイクは、モダン・ツーリングバイクの一つのスタンダードを示しました。

ベスト新人賞(Prix du Rookie) 
LARIX BICYCLE(ラリックス・バイシクル)



LARIX BICYCLEは、マウンテンライドやオンロードでのコミューティングをキーワードにフレームづくりを行っている今年初参加のフレームビルダー。モダンパーツを採用するだけでなく、オリジナルのドロップアウトやステム下部にインストールされたUSBプラグなど、機能的かつ独自のアイデアが満載の一台を提案しました。


最終的に24のフレームビルダーがエントリーし、18のフレームビルダーが完走。昨年以上にタフなコース設定だったにも関わらずメカトラブルは減少し、参加するビルダーの技術向上も印象的だった2017年のコンクール・マシン。コンクール上位には、バックグラウンドもスタイルも異なる3人のビルダーが選ばれ、フレームビルディングの新たな可能性を示しました。果たしてフレームビルディングの未来はいかに? これからの展開も楽しみですね。

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コンクール・マシン:リゾルト(Concours de Machines Result)
コンクール・マシン:リゾルト/ピーター・ワイグル(How to make a superlight bike for the "Concours de Machines 2017")




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Concours de Machines 2017_Day1

Concours de Machines 2017(コンクール・マシン2017)取材のため、フランス中央部の街アンベール(Ambert)に来ています。本年度のコンクールには、フランスのほかイギリス、ドイツ、スイスなどEU各国からフレームビルダーが集結。アメリカから参加の私たちも含めると30のフレームビルダーがエントリーしました。


北米でもっとも影響力のあるフレームビルダーの一人とも言われるピーター・ワイグル。1977年にそのキャリアをスタートさせてから今にいたるまで、数多くの優れたハンドメイドバイクを生み出してきました。そんなピーターのバイクで、バイシクル・クオータリー編集長のヤンは2017年のコンクールを走ります。


コンクール前日にようやく出来上がったレジュメ。今回、提案するのは「必要十分なツーリングバイクとはどのようなバイクか」ということ。快適なライディングに必要不可欠なフレーム設計はもちろん、コンクールには欠かせないイノベーションも。


まずは、フロント側、リア側ともに手元で操作可能なライトスイッチ(写真はインストール直前)。日没後に走るのはもちろん、トンネルなどでライトを点灯させたいときに、とても便利です。ブルベサイクリストでもあるヤンいわく「手元でライトの操作ができると、これほど楽なことはない」とのこと。


ライトまわりで言えばもう一つ。ジェネレーターハブをワイヤーをフォーク内に納めて動作させるシステム。これは、見た目のシンプルさだけでなく輪行のしやすさに一役買ってくれます。


鍛造で強度を高め、モダンバイクのブレーキ台座にもフィットするように設計されたルネ・エルス・カンティブレーキ。こちらは間もなくCompass Cyclesからルネ・エルスとして発売予定の新作(プロトタイプ)です。なんとかコンクールに間に合いました。


ルネ・エルス・クランクセットもピーターの手にかかるとこの通り。しっかり軽量化されています。


テーパーチューブの使用やフォーク抜き輪行システム(リアフェンダーは分割式)の導入など、ツーリング車に必要な機能を凝縮した1台。また、フロントバッグサポーターはCompass CyclesとC.S. HIROSEのコラボ製品をモデファイして使用しています。


と、ちょっと脱線しましたが……初日はバイクの走行前チェックと各種計測、撮影、各フレームビルダーによるプレゼンテーション。ピーターのバイクは、フロントバッグやスペアチューブ類を含めても9.7kg。ちなみにフロントバッグはフランスの老舗ジルベルソーとのコラボレーションです。一般に頒布のバッグはナイロン製と比較して重たいイメージがありますが、こちらはなんと実測値266g! ファブリックは通常モデルと同じものを使っているので、雨天走行時やヘビーユースも安心のクオリティです。


控え室にはプレゼンテーションを控えたショーバイクがズラリ。イノベーションのカタチは多種多様、一つとして同じ答えはありません。それを楽しむのがコンクール・マシンなのです。



各ビルダーの持ち時間は30分。フレームビルダーであるピーター・ワイグルが解説。それを補うカタチでヤンが翻訳して審査員に伝えます。


プレゼンテーションの後、写真撮影を経て初日の審査は終了。いよいよ二日目は走行距離約230km(未舗装路20km越えのグラベル・ロードを含む)、獲得標高差4000m越えのテストライドに挑みます。果たして、どれだけのハンドメイドバイク&ライダーが完走できるでしょうか。ちょっとドキドキ。


フランスの老舗Alex Singer(アレックス・サンジェ)にて。コンクールの最終調整中のために快く工具を貸してくれた、よき友人でありAlex Singerの主人でもあるオリビエ・スューカに感謝です。


※コンクール・マシン関係の本Blogはコチラにリンクを貼ってあります。
コンクール・マシン:初日・プレゼンテーション(Concours de Machines Day1)
コンクール・マシン:2日目・テストライド(Concours de Machines Day2)
コンクール・マシン:3日目・テストライド(Concours de Machines Day3)
コンクール・マシン:リゾルト(Concours de Machines Result)
コンクール・マシン:リゾルト/ピーター・ワイグル(How to make a superlight bike for the "Concours de Machines 2017")



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